朝講習
吾輩「あとひと月で卒業か…」
吾輩「この光景もひと月で見納めなんだな…」
吾輩の横には、3年間クラスが一緒であった佐藤さんが座っている。
最後のひと月は、隣の席に座れてよかった。
佐藤さんは吾輩の視線に気づく。
佐藤さん「どうしたの、そんなに私を見て?」
佐藤さん「逮捕しちゃうよ?」
吾輩「逮捕…されたいです」
昼休み
昼休みも吾輩は、佐藤さんを見て、ぼーっとしていた。
今は何をしているのだろう。
吾輩「あと一か月か…」
佐藤さんは吾輩の視線に気づく。
そして、笑いながら話しかけてきた。
佐藤さん「吾輩くん、どうしたの? そんなに菩薩みたいな御顔をして」
いけない、吾輩は見惚れてついつい、菩薩のような顔になっていた。
放課後
吾輩「永遠にこのクラスに閉じ込められたらどんなにいいものか…」
そういいながら、再び、吾輩は窓の方を向く。
佐藤さんは外の景色を眺めている。
すると、佐藤さんは吾輩に気づいた。
佐藤さん「どうしたの、そんなに寂しそうな御顔をして」
佐藤さん「もしかして、私と離れるのが寂しいの?」
と言いながら、吾輩の顔を覗き込む。
佐藤さん「大丈夫だって! クラスや席は違うかもだけど、私たちは、これからもずーっと同じ環境にいるんだよ!」
佐藤さん「私たち、エスカレーター式に同じ高校に入って、同じ大学に入って、同じ会社に入社して、生きていくのだから」