女子生徒A「ウォーーーーーーー加速だぁ!!!」ジュババ
女子生徒B「極限まで加速するぞぉぉ!!!」ジュババ
「ちょっと、そこの生徒! 止まりなさい!」
ピタッ
その声を聴いた瞬間、女子生徒等は走ることを止めた。
なぜなら、その声の主が、あの洋子であったからである。
洋子は、純真乙女学園の風紀委員長を務めている。
大きな赤い瞳にボブカットがチャームポイントであり、校内で知らないものはいない。
洋子は歴代風紀委員長の中で、最も厳しいと評判であり、この学園の秩序そのものであると言われている。
洋子は、廊下で極限まで加速していた生徒達を1時間程説教した後、校内の巡視を再開した。
洋子「校内の秩序は、この世界の秩序につながっているの」
洋子「自分たちの周りが無秩序であるなら、国同士の無秩序が収まるわけないでしょ? だから私たちにできる範囲内で、秩序を保つことに努めているのです。それが大きな枠組みの秩序を保つために重要なのです」
洋子は隣を歩く風紀委員長補佐に諭す。
一通り校内を歩き回ったのち、持ち場に戻る。
ここは管制室。
洋子は普段、ここで校内の様子を把握している。
24時間体制の管制官(生徒)もいる。彼らは、いずれも洋子に従順であり、自ら志願した者しかいない。
洋子が管制室に入ると、管制官は直立し、洋子に挨拶をした。
管制官「洋子様! 現状異常ありません」
洋子「それは良いことです」
しばらくして、突然、管制室にアラームが響き渡った。
ピョーンピヨーン
管制官「第一番ゲート(校門)からアラームが鳴っています。モニターでは現状を把握できません」
洋子「何かが起こっているわ! 今すぐ確認に行かなきゃ」
スタスタスタスタ
洋子達は、第一番ゲートに辿り着いたが、異常は見られない。
洋子「ゲートの内側ではなく、外側で問題が起きているのかしら?」
洋子達は、恐る恐るゲートを開けた。
すると、そこには可愛らしいネコがいた。
ネコ「マ—-オ」
洋子「アアァァ–カワイイカワイイネコチャン」
そう言って、洋子は我を忘れて飛びついた。
洋子はネコが大好きなのであり、ネコを前にすると理性を失うのである。
ここで、管制官は重要な事実を思い出した。
管制官「そういえば、洋子様が管制室を設計された際、野良猫ちゃん保護用にネコセンサを搭載するように仕様に記載されていまいした」
洋子「マーーオ」
洋子はまだネコと会話している。
しばらくして、洋子は我に返った。
洋子「思い出しました。私、ネコちゃんセンサを設置するように頼みました」テヘヘ
洋子はフフフと笑いながら、管制官たちに以前依頼したことを忘れていたのを謝った。
洋子「このネコちゃんは飼い猫で、散歩で歩いてきたらしいの」
洋子「とにかく、他に大きなトラブルがなくてよかったわ」
一同は管制室へ戻った。
洋子は管制官全員を集め、次のように話した。
洋子「私、風紀委員長を今期で辞めるわ」
ザワザワ
管制官は動揺を隠せないらしい。
洋子「そしてね、生徒会長になるわ!」
洋子「生徒会長になって、ネコちゃん専用ゲートを設けるの!」
そう言って、生徒会選挙演説の準備に着手したのであった。
洋子の意思はダイヤモンドよりも硬い。
ーつづくー
おまけ
本記事作成にあたり、生成した他のイラストを残しておきます。