【物語×AIイラスト】週末のランニング

男は転勤のため、新天地に引っ越してきたばかりだ。

週末、男は家の近くの河川敷を走ることにした。

河川敷

男の趣味は、ランニングであった。

高校、大学は駅伝部であり、箱根駅伝にも出場したこともあり、かなり走ることに自信があった。

男は、引っ越しの準備をしていたこともあり、久しぶりに走った。

少し息が切れるくらいに走るのが最高に気持ち良いのである。

特に他の走っている人を抜く瞬間は、絶頂に値する。

タッタッタッタ

男はリズムよく走る。

男の視界にお爺さんが入ってきた。ペースに差があることで、男が追いついたのである。

河川敷を走る男

男は脇目も振らず、お爺さんを抜く。

タッタッタッタ

男はペースを維持して走り続ける。

タッタッタッタ

タッタッタッタ

男は足音が自分の音だけでないことに気づく。

先程、抜いたはずのお爺さんが、男の真後ろをキープしていたためだ。

男はかなりの速度で走っていた。現役時代より衰えているわけではないことも知っていた。

故に男は、このお爺さんがかなりの実力者であると認識した。

しばらくして、男は視界に3人の走る老人を捉えた。

川沿いを走る男

男はギアを上げ、颯爽と3人を抜こうとする。

タタタタタタ

追いついたのだが、抜けないのである。

この3人もかなり速いペースで走っているのである。

これは、1kmを3分で走るペースである。

男は5人の集団で走ることになった。

河川敷

この時点で、男は新天地の大自然を楽しむ余裕はなくなっていた。

それから、男はいくつかの集団と合流し、いつしか大集団となっていた。

ダッダッダッダッダ

1km3分の集団は、ペースを落とさず走り続ける。

男は厳しい顔をしていたが、みんな笑顔で楽しそうに走っている。

走る集団

ここで集団全体がさらにギアを上げる。1km2分30秒ほどのペースである。

男は全力疾走で走っていた。

何かを叫んでいる者もいる。

走る集団

集団はさらにさらにギアを上げ、1km2分のペースで走っていた。

ダダダダダダ

世界記録よりも速い。

男はここで倒れ、大の字に倒れた。

男「ハァハァ……なんなんだ、あの人たちは…」

男「最早人間ではないのではないか」

男は集団に置いてかれたのであった。

ダダダダダダダダ

走る集団

集団はペースを維持しつつ、あっという間に水平線の彼方へ消えていった。

男「なんだったんだろう、あれは」

世界は知っているよりも遥かに広い。