洋子「えーっと、これは…何かしら?」

洋子が移動教室から教室に戻ると、洋子は机の上に何か置かれていることに気づいた。

洋子「これは、じゃがいも?」
洋子「いや、これはポテトだわ」
洋子は机の上にポテトを認識した。

洋子「ふふふ」
洋子「これは、風紀委員長の私に対する挑戦状ね」
洋子は純真乙女学園の史上最強の風紀委員長と恐れられている。
その権力は、校長先生も凌駕する。
洋子「これは風紀違反だわ」
洋子「校内風紀規則第一〇八項 校内へのポテトの持ち込み禁止」
そう言って、洋子はポテトを食べた。
パクパクパク

洋子「美味しいわ、これじゃがバターだわ」
そう言って、洋子はペロリと平らげた。
洋子「持ち込みはダメだけど、食べてはだめという規則はないわ」
洋子「さてと、犯人探しよ!」
洋子は犯人捜しを始めたのである。
洋子「まずは、このポテトがどこから来たか、それが焦点でしょう」

洋子「ふふふ、絶対に犯人を逃さないわ」
洋子「それと、どこの産地か尋問する必要がありますわ」
洋子は食いしん坊だ。
洋子「まず、机の上にあるということから、誰かが嫌がらせのため、私の机に置いた可能性があるわ」
洋子「もしくは、喚起のため、窓が開いていたので外から誤って入り込んだ可能性もあるわ」

洋子「でもね、外から入ってくるとすると、その場合、ポテトがスライディングすることによって、床や壁にその痕跡が残るはず」
洋子「しかし、それが見当たらないということは、前者の説が有力だと推察されるわ」

洋子は誰かが机に置いたもの、とみなし調査を進めることにした。
しかし、調査の手掛かりとなるポテトは、すでに洋子の胃袋の中にある。
洋子「私って鼻がいいのよ」
洋子はクンクンをポテトの匂い分子を探索し始めた。
クンクンクン

洋子「この方角から、ポテトの残りの香りがするわ」
洋子は職員室を指さした。
洋子「犯人は…先生?」

洋子は職員室に辿り着いた。

洋子「ポテトの香りはするけど、ここが発信源ではないわ」
洋子「しかし、限りなく近い気がするわ」
洋子は職員室の中を進んだ。
洋子「とてもポテト感がするわ」
それは、校長室からであった。

洋子は、校長室の中に入った。
洋子「やはりポテトの香りの発信源はここに違いないわ」
洋子「そして、黒幕は校長先生だったという筋書きだわ」

洋子は心の声が漏れており、校長先生に筒抜けであった。

洋子は前振りもなく、いきなり核心に踏み込んだ。
洋子「校長先生! 貴方は校内風紀規則第一〇八項を違反していますね!」
洋子「そして、私の机の上にジャガバタ―を置きましたね!」
校長「私は違うのであります」
洋子「なぜなら、この部屋がジャガバターの香りで充満していることから、ポテトを持ち込んでいることは疑いないと推測したためですわ」
校長「私は規則を違反していないのであります」
校長「私は、以前校内で拾ったポテトを、ここで育てているのであります。そして、持ち込んではいないのであります。また、貴方の机の上に持って行った記憶はありませんのであります、以上」
そう言って、校長先生は、引き出しの中で育てているジャガイモを洋子に見せつけた。

洋子「まぁ、本当だわ!」
洋子は驚いて、校長先生の言い分を認めた。
洋子「これでは、違反しているとは言い切れませんわね」
洋子「そして、校長先生が机に持ってきてもないとすると、何故?」
洋子が考えていると、校長室の一室から鳴き声が聞こえた。
ニャーニャーネコ

なんとそこには、ネコちゃんがいたのである。
洋子「あなたは、この前の!」
その猫は、洋子が先日、第一ゲート前で見つけたネコであった。
どうやら、校長先生と仲良くなって共存しているらしい。
洋子「校長先生! こんな可愛いネコちゃんと!」
洋子「ずるいです!」

最強の風紀委員長の弱点はネコである。
洋子はネコを目の前にすると、すべてを忘れるのである。
しばらくして、洋子は我に返った。

洋子「それでは、ジャガバタ―はこのネコちゃんが私にプレゼントしてくれたのですね?」
ニャーニャーネコ
ネコは頷いた。
洋子「ジャガバタ―事件、これにて閉幕!」
そう言って、洋子はネコを沢山撫でた後、教室に戻った。

洋子は教室に返りながら決意した。
洋子「よし、今度は私生徒会長になるわ!」
洋子「ネコちゃんにとって楽園となる学園にしてみせる!」

かくして、洋子の生徒会長になる思いは日に日に強くなるのであった。
つづく