いまはいま、あるところに、桃が大好きな桃子さんが村に住んでいました。
桃子さんは毎日お庭の桃を愛でて住んでいました。
それほどに桃が大好きでした。
ある朝、桃子さんはいつものように散歩に出かけ、川岸を歩いていました。
桃子「今日も異常なし、よし!」
川の異常がないことを下流より確認していきました。
桃子さんが上流の方へ行くと、明らかな異常がありました。
そこには、極めて巨大な桃があり、川の流路が狭くなった部分でせき止められていました。
桃子「え…えぇぇぇぇぇ!?!?」
桃子さんは驚きのあまり、言葉が出てきませんでした。
とりあえず、指差し呼称をしました。
桃子「異常あり、よし!」
桃子「なんて大きな桃なのかしら」
桃子さんは、大きな桃の一部を切り取って、持ち帰ることにしました。
家に帰ると、大事な日本刀を取り出し、桃を一刀両断することにしました。
桃子さんは、村一番の抜刀術の使い手なのです。
桃子さんは得意の抜刀術で、拾ってきた桃を一刀両断しました。
桃子「フンッ」
シュパーーーン
桃は瞬く間に、真っ二つに割れました。
桃子「切断時の感触からすると、なかなか新鮮な桃なことだわ」
桃子さんが切った桃の中には、小さな子供がいました。
子供「ぼくは桃太郎」
子供は自分のことを桃太郎だと、名前を主張していたので、桃子さんは桃太郎と呼ぶことにしました。
桃太郎はすくすくと育ち、尋常ではない速度で成長しました。
桃太郎も桃が大好きで、毎日愛でていました。
桃子さんが桃を見つけて1カ月する頃には、桃子さんと同年齢程の美少女に成長していました。
桃子さんは、成長スピードにビックリしていました。
ある日、桃太郎は突然、旅に出たいというので、桃子さんは桃太郎を見送りました。
桃子「あの子、どこへ行くのかしら?」
桃太郎は特に何処に行くか決めていたわけではないので、何も考えずに前に進みました。
道中で、どういうわけか犬、猿、雉と仲良くなりました。
桃太郎は、犬、猿、雉の異常に発達した嗅覚により、桃王国に辿り着きました。
桃太郎「桃王国、とは?」
桃太郎「ちょっと入り口の部分の屋根が、気持ち悪いわ」
桃太郎はお城の中に入りました。
お城の中は、至る所に桃があり、不思議な光景でした。
桃太郎は、そこにあった桃が異常に美味しそうなので、食べてしまいました。
パクパクパクパク
桃太郎「ううんn、美味しい!」
そう言うと共に、桃太郎は意識を失ってしまいました。
桃太郎はしばらくして、目を覚ますと、玉座の間にいました。
玉座に座る何者かが喋りました。
「私は桃王国の王よ」
どうやらこのお城の主らしいです。
王「私は、この王国の桃の木で育った、7つの大きな桃を川に流したのよ」
王「その7つの桃にはそれぞれ子供が宿っていて、このお城にいずれ戻ってくるようにプログラムされていたの」
桃太郎「なるほど。つまり、その桃の木で育った桃の中の子供は、そのように行動するようにDNAに組み込まれているということね」
桃太郎は超速理解で自分の状況を把握した。
王「一番早くこのお城に戻ってきた人を正式な後継者として採用することになっていて、貴方が一番だったの」
桃太郎「なるほど、しかし、後継者といっても何をすればいいのかしら」
王「私が手掛けた情報教材の普及に努めてほしいの」
王「適当に作ったのだけど、とにかく儲かる情報教材でね、貴方も大金持ちになれるわ」
王「この王国もその教材のおかげで出来たのよ、庶民が教材を買ってくれたおかげでね」
王がそう言うと、桃太郎は怒りのまなざしを王に向けた。
桃太郎「私、情報というものが嫌いだし、そんなものいらないわ!」
そう言って、桃太郎は王に桃を投げつけて、城を後にしました。
桃太郎「エイヤッ」
犬と猿と雉は、ずっと桃を食べていたので、お城に置いていきました。
先日、仲良くなったので、そこまで思い入れはありませんでした。
桃太郎は、桃子の元に戻りました。
そして、幸せに二人で暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
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